【いまさら聞けない】RC橋りょうとPC橋りょうの見分け方と維持管理のポイント

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こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。

鉄道や道路のコンクリート橋りょうには、大きくRC(鉄筋コンクリート)造とPC(プレストレストコンクリート)造の2種類があります。(古いものではたまに、無筋コンクリートもあります。)

どちらもコンクリート構造物である点は同じですが、構造的な特徴、使われ方、劣化の出方、維持管理のポイントは大きく異なります

現場で橋りょうを点検する際、このRCとPCの見分け、きちんとできているでしょうか。

RCとPCを正しく見分けられるかどうかは、劣化の判断や補修方針の検討に直結する重要なスキルです。

この記事では、初心者でも理解しやすいように、RCとPCの違い、橋りょうでの使い分け、外観での見分け方、維持管理のポイントを体系的に解説します。

鉄コン君<br>(筆者)
鉄コン君
(筆者)

この記事は、鉄道会社の土木部門でコンクリート構造物の維持管理を専門にしていた経験のある筆者が解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

RCとPCの違いとは?

まずは、RCとPCの基本的な違いを簡単に整理します。

RC(鉄筋コンクリート)

RC(Reinforced Concrete)は、鉄筋で補強したコンクリート構造です。

コンクリート圧縮される力には強いものの、引張られる力には弱いため、引張側にはひび割れが発生することを前提としています。

 そのため、ひび割れがある程度は許容される構造といえます。

どの程度のひび割れを許容するのか、またひび割れの発生原因が何なのかを詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事を合わせてご覧ください。

PC(プレストレストコンクリート)

PC(Prestressed Concrete)は、PC鋼材を用いてコンクリートにあらかじめ圧縮力(プレストレス)を導入した構造です。

プレストレスによりひび割れ幅を制御しているため、基本的にはひび割れは生じません

RCとPCの構造的な違いについては、別記事で詳しく解説していますので、より深く知りたい方はそちらをご覧ください。

RCとPCは橋りょうでどう使い分ける?

橋りょうでは、支間長・桁高・施工条件・コストなどの要素によってRCとPCが使い分けられます。

RC橋りょうが選ばれやすい条件

・支間長が短い(10〜20m程度)

・桁下空間の制約がない(桁高の制限がない)

・施工性を重視したい

・コストを抑えたい

RCは構造がシンプルで施工しやすく、短支間の橋りょうに適しています。

鉄道橋りょうでも、短いガーダー橋や小規模な構造物ではRCが採用されることが多いです。

PC橋りょうが選ばれやすい条件

・支間長が長い(20m以上~)

・桁高を低く抑えたい(鉄道の道路交差部・河川上など)

鉄道橋りょうでは、道路や河川を横断する橋りょうで、桁下空間の制約が厳しい場合、桁高を低くできるPCが選定されることが多いという特徴があります。

実橋りょうにおけるRCとPCの見分け方

現場で橋りょうを点検する際、外観から簡単にPCとRCを見分ける方法があったらいいですよね。

以下に、初心者でも判断しやすいポイントを2点紹介します。

① 定着部の後埋めコンクリート(PC特有)

PCの後埋めコンクリートを示す写真

これは、一番わかりやすい見分け方です。

PC橋では、PC鋼材の定着部を保護(腐食防止)するために、端部に後埋めコンクリートが施工されています。

特徴としては、四角い色違いのコンクリートがあることです。

T桁を複数並べた構造の場合、横桁の端面にみられます。

箱桁の場合は、側面にまばらにみられます。

これは、横締めPC鋼材の定着部をコンクリートで後から埋めた痕跡なのです。

② 桁のスレンダーさ(PCの方が薄い)

PC橋は、RC橋と比べて桁高/支間長の比を小さく設計できるのが大きな特徴です。

これは、高強度のPC鋼材を偏心配置してプレストレスを導入することで、引張応力を事前に抑えつつ、曲げに対する抵抗を効率よく確保できるためです。

その結果として、RC橋よりも小さな断面(低い桁高)で同じ支間長を飛ばすことができるため、桁下の空間を確保しなければならない場合(道路や河川と交差する鉄道橋りょうなど)にはPCが採用されやすいです。

・同じ支間長でもPCの方が薄い

スマートで細長い印象を受ける

こうした外観的特徴も、判別のヒントになります。

RC橋りょうとPC橋りょうの維持管理のポイントの違い

コンクリート橋りょうの維持管理においては、RCとPCで注意すべきポイントが異なります

正確に言うと、PCのほうが注意すべきポイントが多いです。 

PC橋は、PCケーブルといわれる主鋼材が腐食・破断すると、構造安全性に大きな影響を与えます。

放置すると橋りょうの崩壊にまで至る重大な変状であることから、特に注意して点検する必要があるポイントです。

ここでは、RC橋りょうとPC橋りょうの点検における特に重要なポイントを紹介していきます。

① ひび割れの許容値が違う

RC:ひび割れはある程度許容される 

→ 設計上、幅0.3mm程度までは許容されることが多い

PC:基本的にひび割れは許容されない 

PC鋼材の腐食につながるため、ひび割れは重大な劣化のサイン

PC橋りょうでは本来ひび割れは発生しないはずのものなので、発生している場合は劣化の原因をきちんと押さえておく必要があります。

② PCケーブルに沿った劣化のサインに注意(鋼材腐食のリスク)

PC橋りょうの劣化のサインを示す写真

PC橋では、PC鋼材沿いに水が浸入すると重大な劣化につながるため、以下のような劣化がみられる場合は特に注意が必要です。

・PC鋼材のルートに沿った 水じみ

・白い析出物: エフロレッセンス(白華)

これらは、PCケーブル沿いに水が浸入した痕跡を示す=ケーブルの腐食が進行している可能性がある ということを示唆しています。

特に、PCケーブル沿いに錆汁が出ている場合は鋼材腐食が進行している可能性が高く、危険な状態です。 早急な詳細調査が必要になります。

③PCは後埋め部も重要な点検ポイント

定着部に生じている劣化のサイン

PC橋りょうの場合、鋼材の定着部直接外観で確認できません

そのため劣化の有無は、定着部の後埋めコンクリートにサインが出ていないか確認することが重要です。

先ほどの②に示したような、ケーブルに沿った劣化のサイン(水染みやエフロ、錆汁)ももちろん重要な点検ポイントです。

さらにもう1点、後埋めコンクリートのひび割れの有無もよく見るべき点です。

後埋め部のひび割れ

後埋め部に、写真で示したような放射状のひび割れが出ていたら危険なサインです。

中で横締めPC鋼棒が破断し、解放されたプレストレスによって鋼棒が飛び出そうとしている状態かもしれません。

鉄コン君<br>(筆者)
鉄コン君
(筆者)

鋼棒は、桁の寸法にもよりますが数mほど勢いよく飛び出す恐れがあります。

鋼棒が飛び出している様子

鋼棒自体に当たるのが危険なのはもちろん、後埋めコンクリートの破片が飛び散って、桁下を通る人が大けがしてしまうリスクもあるのです。

その他の鉄道土木構造物の維持管理(検査)について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。

おわりに|RCとPCを正しく理解して維持管理に活かす

RC橋りょうとPC橋りょうは、構造的な特徴、使われ方、劣化の出方のポイントが異なります

 外観から見分けられるようになることで、点検の精度が向上し、劣化の早期発見にもつながります。

・外観の定着部桁高で見分けられる

RCひび割れが出やすいが許容される

PCはひび割れが少ないが、主ケーブル沿いの劣化のサインに注意

これらのポイントを押さえておくことで、現場での判断がより確実になります。

この記事が、コンクリート橋りょうの維持管理に携わる方や、コンクリートについて学んでいる方の参考になりましたら幸いです。

RCとPCを含む、鉄道コンクリート橋りょうの歴史を知っておくと、さらに維持管理において役立つことと思います。興味がある方はぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!

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