こんにちは。記事をご覧いただきありがとうございます。
コンクリートの中性化深さを測る方法には、どんなものがあるかご存じでしょうか。

前にこの記事で勉強したよ。コア法とドリル法があるんだよね。
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その通りです。では、この2つをどのように使い分けるか、説明できますか。
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えっと、コアを抜くのは大変だけど正確で、ドリルは簡単だけど少し精度が落ちるんだっけ。
実務では、構造物への影響を最小限にしつつ、短時間で多点測定できるドリル法を使う場面が非常に多いです。
ドリル法は、コンクリート表面から粉末を連続的に採取し、フェノールフタレインを含浸させたろ紙の上に落としていくことで、深さ方向の中性化深さを推定する方法です。
構造物にあたえる損傷が小さく、簡易的に実施できるというメリットがあります。
しかし一方で、正しい手順を踏まないと結果に大きなばらつきが出るという弱点もあります。
そこで本記事では、
まで、実務で迷わないレベルで詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
中性化とは?
ドリル法の話をする前に、まずは中性化とはどんな現象なのか、改めて解説します。
コンクリートは本来アルカリ性で、鉄筋を錆から守る「不動態皮膜」を維持しています。
しかし、空気中の二酸化炭素がコンクリート内部に浸透すると、アルカリ成分が中和され、pHが低下します。これが「中性化」という現象です。
中性化が鉄筋位置まで到達すると、鉄筋の不動態皮膜が破壊され、鉄筋腐食が始まるリスクが急激に高まります。
中性化深さを測定することは、構造物の目に見えない劣化の進展をとらえる指標になる。
中性化試験とは?
中性化深さを調べる方法を、中性化試験と呼びます。
ここではその方法について、代表的な「コア法」「ドリル法」の2つを紹介します。
コア法)JIS A 1152
ドリル法)NDIS3419

フェノールフタレイン溶液をかけると中性化域がわかるのは、なんでだっけ?
前も聞いた気がするんだけど、忘れちゃったな。
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フェノールフタレイン溶液は、アルカリに触れたとき赤紫色に変色します。
コンクリートは、先ほども述べた通り本来アルカリ性です。
なので、コンクリートの未中性化域にフェノールを噴霧すると変色します。
この変色の有無で、中性化している箇所とそうでない箇所を区別するんですよ。
メリット・デメリット
| 方法 | メリット | デメリット |
| コア法 | 精度が高い | 構造物への影響が大きい |
| ドリル法 | 微破壊、多点測定向き | 粉末混合・湿潤の影響 |
以降は、現場で使いやすいものの、精度を高めるには測定のポイントを抑える必要がある、ドリル法のやり方について解説します。
ドリル法のやり方(手順)
ドリル法による中性化深さの測定方法については、1999年に日本非破壊検査協会により、NDIS3419「ドリル削孔粉を用いたコンクリート構造物の中性化試験方法」が制定されています。
ここでは、上記規格に定められる手順に準じた方法をご紹介します。
① 測定位置の決定
まずは、測定位置(ドリルで穴をあける位置)を決定します。
以下のポイントに留意して選定しましょう。
・ひび割れの有無を確認
・表面が脆弱な箇所を避ける
・骨材を避ける
・電磁誘導式またはレーダー式の鉄筋探査機で鉄筋位置を把握し、鉄筋を避けた位置とする
特に、骨材部分を削孔してしまうと結果に大きなばらつきが出ます。
また、鉄筋に当ててしまうとそれ以上削孔ができないので、注意しましょう。
② ドリルで粉末を連続採取


よーし、試験をする位置を決めたよ。早速穴をあけよーっと。
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ちょっと待ってください。
まずは、削孔した粉を受け止めるためのろ紙を準備するんですよ。
まず、ろ紙にフェノールフタレイン溶液(濃度1%)を噴霧し、吸収させます。
その後、ろ紙を削孔粉が落ちる位置に保持し、φ10㎜のドリルでゆっくりと削孔します。
削孔粉がろ紙の一部分に溜まらないよう、ろ紙を回転させる。落下した粉がろ紙に触れて赤紫色に変色したら削孔を停止します。

③ 中性化深さを計測

ノギスのデプスバーと本尺の端部を用いて、孔の深さを0.5㎜単位で計測します。

これって、1か所だけ測定すればいいの?
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いいえ。3点の測定を実施し、それらの平均値を中性化深さとします。
それぞれの測点は3㎝以上離してくださいね。
また、測定値の最大値と最小値が6㎜以上違う場合は、さらに2点増やして合計5点とします。
この場合、最大値と最小値を除いた3点の平均値を中性化深さとしてください。

うへぇ。なんだかややこしいね。
・極端に深さが違う数値が出た場合、骨材を削孔している可能性がある。
・コンクリートの乾燥度合いでも中性化の進行速度は変わる。乾燥している箇所は早く、湿っている箇所は遅い傾向がある。
④ モルタルで埋め戻す
削孔した孔をモルタル等の補修材で埋め戻します。
補修材と本体がきちんと付着するよう、
・削孔粉をエアスプレー等で取り除く
・水を含んだ布等で付着面を濡らしておく
といった点がポイントです。
ドリル法に必要な道具
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ここまでの解説で、ドリル法のやり方はわかりましたか?
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うん、よく分かったよ。
でも、自分でやるためにはどんな道具が必要なのか、ちゃんと準備できるか少し不安だな。
さきほど示した手順に沿って正しく実施するためには、以下の道具が必要です。
【測定位置の選定】
・鉄筋探査機
・チョーク
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鉄筋探査機はAmazonに売っているようなものだと精度に不安があるため、きちんとした電磁波レーダー式のものを使用するのをおすすめします。
ただし、購入するとうん百万のものなので、一時的な計測であればレンタルを利用するといいです。
【削孔】
・充電式ドリル(回転数調整できるもの)
・ドリルビット(φ10:NDIS3419準拠)
・保護具(保護メガネ・手袋)
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ドリルは充電式でなくても構いませんが、その場合は発電機を持っていってください。
充電式の場合は、バッテリー(予備含む)を忘れないでくださいね。
【削孔粉の採取】
・ろ紙
・フェノールフタレイン溶液(1%希釈)
・霧吹き
【中性化深さの計測】
・ノギス
【削孔箇所の補修】
・埋め戻し材(モルタル)
・エアスプレー
【試験条件の記録】
・コンクリート表面水分計
・温湿度計
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表面水分計は、安物だと数値がかなりばらつきます。
十数万の値段はしますが、高周波容量式のものを購入することをおすすめします。
コンクリート表面の水分量や、周囲の湿度は中性化の進行速度に影響する重要なパラメータです。
できれば、乾燥している位置(日当たりのよい面)と、湿潤な位置(水掛かりがある、日当たりの悪い面)の記録を抑えておくと結果の分析に役立ちます。
測定値の判断
得られた数値をどのように取捨選択すればよいか、ここでは実際の計算例をいくつか示します。
(パターン①)3点の記録が、5.0㎜・7.0㎜・10.0㎜の場合
→最大値と最小値の差分が10.0-5.0=5.0㎜<6.0㎜ OK(追加測点不要)
(5.0+7.0+10.0)/3=7.3mmが平均値であり、これを中性化深さとする
(パターン②)3点の記録が、12.0㎜・15.0㎜・20.0㎜の場合
→最大値と最小値の差分が20.0-12.0=8.0㎜>6.0㎜ NG(追加測点必要)
追加2点の記録:10.0㎜、18.0㎜
→5点のうち最大値20.0㎜と最小値10.0㎜を除外する
(12.0+15.0+18.0)/3=15.0mmが平均値であり、これを中性化深さとする
中性化深さを踏まえた補修判断・補修方法(別記事へのリンク)
中性化深さを踏まえた補修判断をどのように行うべきか、詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
具体的な補修方法について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
おわりに
ドリル法は、構造物への影響を最小限にしながら中性化深さを把握できる、実務で非常に使い勝手のよい方法です。
一方で、測点の選定、変色の判定や測定結果の取捨選択(計算方法)など、測定の精度を左右するポイントが多い手法でもあります。
今回紹介した手順や注意点を押さえておけば、ばらつきを抑えつつ、信頼性の高い中性化深さを得ることができます。
この記事が、実務でドリル法を実施する方の参考になれば幸いです。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!
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