こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。
皆さん、鉄道会社の土木部門ってどんな仕事をしているかご存じですか?
この記事では、「そもそも土木部門って何?」「きつい仕事って聞くけど、本当なの?」といった疑問に答えていきたいと思います!
鉄道会社の土木部門で働いた経験のある筆者が、自らの経験をベースに書いています。
会社ごとに、多少の違いはあると思いますが、多少は大目に見てくださるとうれしいです。
鉄道会社の土木部門とは?

鉄道会社の土木部門とは、一言でいうと「鉄道土木構造物の建設・維持管理をする部門」です。
「鉄道土木構造物って何?」という疑問を持つ方もいると思いますが、それについては別の記事で詳しく解説しますね。
話を戻して、土木部門というのは、大きく分けると「建設」「維持管理」の2つです。
その中で「維持管理」はさらに、「保線」「保守土木」の2つに分けられます。
それぞれの部門がどんな仕事をしているのか、次の項以降でもう少し詳しく解説します。
土木部門の「建設」とは?

「建設」の仕事は、大規模な土木工事(新設・改良工事)です。
例えば、新線の建設工事、あるいは大規模ターミナル駅の開発・改良工事などがあります。
近年のトピックスでいえば、羽田空港アクセス線や、リニア中央新幹線の建設工事といった仕事は、JRの建設工事部門が担当しています。
新線といえば、北海道新幹線の札幌延伸なども思い浮かぶ方がいるかもしれませんが、実はこれは鉄道会社は携わっていません。
リニア中央新幹線以外で現在建設が進んでいる新幹線の整備は、「整備新幹線法」という法令に基づき、「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」という独立行政法人がおこなっているのです。(これについても別記事で解説しますね)
少し話が脱線してしまいました。
鉄道会社の「建設」の仕事に携わる人は、土木工事の花形といえる大規模プロジェクトの中心的な存在となって業務を進めていくことになります。
具体的な業務には、工事の発注に向けた関係機関(国や自治体等)との協議、社内調整、工事発注、施行監理などがあります。
土木の中では華やかな仕事ですので、多くの就活生も、この分野をイメージして土木部門を志すことと思います。
土木部門の「保線」とは?

「保線」の仕事は、線路のメンテナンスです。
鉄道は、在来線で最大160km/h、新幹線では最大320km/hも出す高速の鉄の塊です。
そんな鉄道が安定して走行できるのは、線路が㎜単位でメンテナンスされているからなのです。
メンテナンスといっても、鉄道会社の社員が直接線路に出てレールを曲げ伸ばししているわけではありません。線路の修繕は、専門の施工会社に発注しています。
鉄道会社の保線社員の仕事は、点検結果に基づく修繕計画を立てることや、修繕工事の発注業務などがあります。
保線の分野は近年の新技術開発が目覚ましく、営業列車を使って線路のゆがみなどのデータを取得したり、劣化をAIで画像診断したりといった技術がどんどん取り入れられています。
そのため、従来は人がおこなっていた作業がどんどん新技術に置き換えられた結果、「働き方改革」がかなり進んでいる職場が増えてきています。
「保線」を大学で専門に学んだ方は少ないと思いますので、就活生で興味を持たれている方は少ないかもしれませんが、意外と穴場なホワイト部門と言っていいかもしれません。
土木部門の「保守土木」とは?

「保守土木」の仕事は、鉄道土木構造物全般のメンテナンスです。
鉄道土木構造物の詳細は別記事で解説しますが、代表的なものを挙げると、橋りょう・トンネル・プラットホームなどがあります。
そのほか、盛土と呼ばれる線路の下に盛られている土なんかもすべて土木構造物です。
扱うものの範囲が鉄道会社の中でも非常に幅広い部門であることが特徴です。
また、豪雨による盛土の流出や地震による橋脚の破壊など、大規模な災害が起こるとニュースで耳にすると思います。自然災害との闘いが頻発することも特徴の1つです。
そんな保守土木の具体的な業務としては、構造物の検査、劣化した構造物の修繕、既設構造物を災害に強い構造物に改良するなどが挙げられます。
こちらも、保線と同様に鉄道会社の社員が現場で工事をするということはなく、専門の施工会社に工事を発注する形となります。
土木構造物の診断・補修・改良を一手に手掛ける部署ですので、非常に幅広い知識と経験が求められます。
新卒から入ると覚えることはとても多いですが、やりがいのある仕事だと思います。
ちなみに筆者も保守土木の出身です。なので、保守土木の仕事については別記事でさらに詳しく解説したいと思います。
それぞれの仕事のきつさは?残業は多い?

先ほどまで、各分野の仕事内容を簡単に解説してきました。
ここからは、それぞれの仕事のきつさを★5段階評価で示していきたいと思います。
★1がもっとも楽、★5がもっとも激務としています。
さらに、各項の中では以下の項目も5段階で評価しました。
「残業の多さ」:残業が多いほど★が多い
「仕事のやりがい」:やりがいがあるほど★が多い
「成長環境の有無」:自身の成長につながるほど、また他社で活きるスキルが身につくほど★が多い
建設:総合きつさ★★★☆☆
残業の多さ:★★★★☆
仕事のやりがい:★★★★★
成長環境の有無:★★★☆☆
【評価】
全体的に業務量は多い印象。あと体育会系の職場が多い。(そうはいってもゼネコンほどではない)
地図に残る・多くのお客さまが利用する構造物を作ることのできるという意味でやりがいはピカイチ。
建設に限らず鉄道会社全体の傾向といえるが、社内調整が多くそういった業務しか携われないと社内でしか使えない人材になってしまう。
設計や品質管理といった社外でも活きるスキルを身に着けられるかが成長のカギ。
保線:総合きつさ★★☆☆☆
残業の多さ:★☆☆☆☆
仕事のやりがい:★★☆☆☆
成長環境の有無:★★☆☆☆
【評価】
仕事量は先述の通り、AIや新技術の導入でかなり減ってきている。そうはいっても鉄道会社の特性上、夜勤は多い。(週1回くらい)
現場はルーチンワークが非常に多い。同じことをコツコツとミスなくこなすのが得意な人には向いている。
新技術の導入などに携わる立場に就いて、業務改革を進めていくことで、自身の成長や社外で活きるスキルの獲得につながる。
メンテナンス系の部署では、もっとも勢力の大きな(人数が多い)部署なので、出世しやすいという特徴がある。役員まで昇り詰めたいとかの野望がある人は保線で力をつけると良い。
保守土木:総合きつさ★★★☆☆
残業の多さ:★★★☆☆ (災害時は★★★★★★)
仕事のやりがい:★★★☆☆
成長環境の有無:★★★★☆
【評価】
仕事量はまずまずといったところ。ただし近年災害が多く、復旧に携わる場合は一気に残業時間が跳ね上がる。(もちろん残業代は全額支給されるが。80h~100h/月くらいは覚悟することになる)
扱う構造物の種類は多いが、専門特化していくも良し、ゼネラリストを目指すも良しで道は幅広い。
保線と違い、土木構造物のメンテナンスというのは社外でも活かせる能力。今後インフラの劣化は避けて通れない社会課題なので、技術を磨けばどこでも食っていける人材になれる。(保線を下に見ているわけではないです。)
(番外編)鉄道工事のゼネコン:総合きつさ★★★★★
【評価】(筆者が実際に勤めたわけではなく、発注者側から見たイメージです)
残業しすぎ。働き方改革どこ行った。担当者にいつ電話してもつながるの怖すぎる。
真面目なことを書くと、鉄道工事の特性上、どうしても夜間にしか工事ができないことが多い。
必然、昼間には発注者(鉄道会社)の連絡を受けたり、事務作業をこなし、夜間は現場にでるという生活をせざるを得なくなる。
彼らのプライベートはいつ確保されているのかは、発注者側の目線ではまったくの不明である。
採用時はどこまで職種を選べる?希望は通る?

ここまで、各分野の仕事内容やきつさを解説してきました。
実際に就職を希望される方にとっては、「自分の希望する分野で入社できるの?」という点は気になると思います。
結論、「かなり配慮されるが、100%ではない」です。
企業側としても、ミスマッチによる退職は避けたいので、採用面接時にきちんと希望を伝えていれば、配慮されることがほとんどです。
しかし、採用は「土木系統」という大枠で取っており、その中で「建設」「保線」「保守土木」に振り分けられることが多いです。
そのため、例えば土木系統の枠が10人で、「建設4・保線4・保守土木2」という枠があったとします。
しかし、その年の採用者の希望が「建設4・保線3・保守土木3」だった場合、採用者の希望に合わせて「保線の枠を減らして、保守土木を増やしてあげよう」なんてことにはなかなかなりません。
その場合は、希望しない分野に配属されることになります。
筆者の知り合いにも、建設希望で保線に配属された人がいますが、なんだかんだ辞めずに続けているようなので、やってみなければ合っているか分からないということなんでしょうね。
おわりに
鉄道会社の土木部門はどんな仕事なのか、きつい仕事なのかを解説してきました。
ひとことに「土木」といっても、分野によって仕事内容は大きく異なり、きつさも違うということがお分かりいただけたかと思います。
鉄道会社の土木部門に興味がある人、就職・転職を考えている人の参考になりましたら幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!


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