こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。
コンクリートは、建物や橋りょうなどの構造物に広く使われている材料です。
しかし、「コンクリートは何でできているのか?」と聞かれると、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
一般的には「セメント・砂・砂利・水を混ぜたもの」と説明されることが多いですが、適当に混ぜただけでは強いコンクリートにはなりません。
コンクリートは、要求性能を満たすために設計される“複合材料”です。
強度、耐久性、施工性、経済性といった要素をバランスよく成り立たせるために重要なのが、コンクリートの「配合」です。
この記事では、コンクリートの材料の基礎から配合の考え方まで詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
コンクリートの材料

コンクリートは主に次の材料で構成されます。
コンクリートの体積の約7割を占めているのは、「骨材」と呼ばれる砂利や砂です。
つまりコンクリートは「セメントの塊」ではなく、骨材の集合体をセメントペーストで固めた材料と理解する方が本質に近いのです。
ここからは、それぞれの構成材料がどのようなものなのか、もう少し詳しく解説していきます。
セメントとは
セメントとはなにか、一言でいうと「水と反応して固まる粉体(=水硬性材料)」です。
砂や砂利といったコンクリートの体積の多くを占める「骨材」に対し、セメントはそれらを結びつける“接着剤”の役割を担います。
セメントは何からできている?
一般的に使われているのはポルトランドセメント です。
主な原料は以下の通りです。
これらを約1450℃で焼成して「クリンカ」をつくり、それを細かく粉砕したものがセメントです。

セメントと水を混ぜたら固まるんだよね。
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その通りです。セメントと水を混ぜると、化学反応(=水和反応)を起こして固まります。
固まったものを「セメントペースト」と呼びます。
そこに細骨材(砂)が入ると「モルタル」となり、さらに粗骨材(砂利)が入ると「コンクリート」となるのです。
セメントが水と反応すると、C-S-H(ケイ酸カルシウム水和物)、水酸化カルシウムなどが生成されます。
特にC-S-H が、コンクリートの強度を生み出す主役です。
水和生成物(C-S-Hなど)が骨材同士を結び付け、強度が発現します。
しかしセメントペースト単体には、
といった性質があります。
そのため骨材が体積安定材として機能します。
骨材とは
骨材は体積の大部分を占める材料です。
石や砂のことを指すのですが、粒の大きさによって「粗骨材」と「細骨材」に分かれます。
骨材はふるい試験で粒の大きさを管理します。
粗骨材:粒径が大きいもの→ 5㎜以上のものが重量で85%以上含まれる骨材
細骨材:粒径が小さいもの→ 10㎜ふるいをすべて通過し、5㎜以下のものが重量で85%以上含まれる骨材

粒の大きさで違うのは分かったけど、それぞれどんな役割があるの?
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いい質問ですね。
簡単にいえば、粗骨材はコンクリートの骨組みとなり、細骨材は隙間を埋める役割です。
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先ほども言った通り、セメントペーストだけでは乾燥収縮で体積が大きく減り、ひび割れも生じます。
収縮を抑えるのが粗骨材であり、粗骨材だけだと隙間が多くなるのでそこを細骨材で補っているのです。

そうなんだ。骨材は単なる“かさ増し材”ってわけじゃないんだね。
骨材が原因で生じるコンクリートの劣化とは?
骨材は、その採取箇所によって構造物に劣化を引き起こす要因になることもあります。
代表例は、
などがあります。
反応性骨材とは、セメント中のアルカリと化学反応を起こし、膨張する性質をもつ骨材のことです。
これが含まれていると、セメント中のアルカリ(Na⁺、K⁺)と反応し、
→ アルカリシリカゲル生成
→ ゲルが水を吸って膨張
→ コンクリート内部に引張応力
→ ひび割れ発生
という流れになります。

そうなんだ。どんな骨材が入ってたらまずいの?
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問題になるのは、オパール、クリストバライト、トリディマイト、火山ガラス質を含む岩石などです。
日本は火山国なので、骨材が採取された地域によっては要注意です。
過去にコンクリート構造物が大量につくられた時期には、細骨材として主に用いられていた川砂が全国的に不足し、海から採った砂を用いていたことがありました。
いまほど塩害という現象が広く知られていない時代だったため、きちんと除塩することが徹底されておらず、内在塩分による塩害が発生した構造物もたくさんあります。
特に、瀬戸内海近辺では海砂を用いた構造物がたくさんあると言われています。
混和剤・混和材とは

どっちも「こんわざい」だよね。微妙に字が違うけど、役割もちがうってこと?
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その通りです。「材」と「剤」で役割が大きく異なります。
混和材:セメントの一部を置き換える“材料”
これらは、強度・耐久性に本質的に関与するものです。主に粉体であり、コンクリートの容積(体積)にカウントされます。
混和剤:少量添加して性能を調整する”薬品的存在”
量が少なく、空気連行性を高めたり、コンクリートの流動性を高めるなど、コンクリートの性質を変える薬剤です。
コンクリートの「配合」とは?

ここまで、コンクリートを構成する材料について説明してきました。次に、これらを混ぜ合わせる割合を決める「配合」について解説します。
配合とは、要求性能を満たすために材料の割合を決める設計行為です。
代表的な指標で、コンクリートの品質を左右する特に重要なものが「水セメント比(W/C)」です。
水(Water)とセメント(Cement)の頭文字をとっており、「ダブリューバイシー」と読みます。
W/Cはなぜ重要?
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コンクリートの体積の多くは骨材だって言ってたよね?
それなのに、水とセメントの比率のほうが重要なパラメータになるの?
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そうなんです。コンクリートの強度を決めるのは主にセメントの量なのです。

じゃあ、セメントが多ければ強くていいコンクリートなんだね。
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それはそうなんですが、セメントの量を増やすとデメリットもあるんですよ。
W/Cが小さいほど、
があります。
一方で、セメントが多いと
経済性と施工性、強度のバランスを考慮して適切なW/Cを設定するのが重要なのです。
過去には施工性を優先し、設計で決めたW/Cより水を加えすぎた(=W/Cが高い)不法加水コンクリート、通称「シャブコン」が問題になりました。
水を増やせば流動性は上がります。
しかし、セメントとの水和反応を起こす水の量は決まっており、余った分は蒸発するだけです。
蒸発した分はコンクリート中の空隙となり、劣化因子の通り道となることから、劣化しやすいコンクリートとなってしまうのです。
その他にも、過去には施工性ばかりを重視して、品質の低いコンクリート構造物が量産された時代があったのです。
詳しく知りたい方はこの記事をぜひ読んでみてください。
現在は高性能減水剤により、水を増やさず流動性を確保できるようになりました。
既設構造物を評価する際は、設計配合だけでなく施工実態も想像する視点が重要です。
実構造物のW/Cはどれくらい?

水セメント比が重要なのはよくわかったよ。
でも実際の構造物だと、どれくらいの比率になるのが普通なの?
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いい質問ですね。構造物の用途や構造形式によって求められる性能が変わるのですが、橋りょうを例に挙げると、
RC橋りょう:50~60%
PC橋りょう:40~45%
くらいが一般的です。

そうなんだ。なんでPCのほうがW/Cが低くなるんだろ。
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理由は大きく2つあります。
PC橋では高強度コンクリートが用いられることが多く、耐久性確保の観点からも低いW/Cが設定されることが一般的です。
またPC橋りょうは、RCと比べ内部鋼材の腐食が構造物の機能低下に直結します。
そのため、劣化因子の侵入をなるべく防ぐよう、セメントを多くして緻密なコンクリートとなるようにしているのです。
RCとPCの違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
空気量と凍害の関係

ここまで主に水とセメントの話をしていましたが、もう一つ重要なパラメータ「空気量」についても説明します。
水は凍ると体積が約9%増加します。
コンクリート内部で凍結すると内部圧力が上昇し、微細ひび割れや表面スケーリングを引き起こします。
これがいわゆる「凍害」と呼ばれるコンクリートの代表的な劣化現象の一つです。
この対策として、寒冷地のコンクリートでは通常より空気量を増やす、AE減水剤を配合するといった対策をとり、コンクリート中に微細な気泡が残るようにします。
この気泡が凍結時の“逃げ場”になります。
空気は欠陥ではなく、寒冷地では必要な設計要素なのです。
ただし空気量が増えすぎると強度は低下します。
おわりに
コンクリートは、単なる「固まる材料」ではありません。
材料の選択と配合の思想、そして施工の実態が重なり合って、はじめて性能が形になります。
強度だけを見ても不十分で、 耐久性だけを見ても不十分で、 施工性や経済性を無視しても成り立ちません。
だからこそ、既設構造物を評価するときには、 「どんな材料で、どんな配合で、どんな時代背景でつくられたのか」 という“設計思想”と“施工実態”を読み解く視点が欠かせません。
配合は、数字の羅列ではなく、 構造物の性能をつくるための“設計そのもの”です。
この記事が、コンクリートを見るときの視点を少し広げ、 現場や図面の裏側にある“意図”を感じ取るきっかけになれば幸いです。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!
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