鉄道はなぜうるさい?音の種類と原因を解説

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こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。

通勤や通学で、日常的に鉄道を使う人は多いですよね。

人によっては、線路のすぐ近くに住んでる人もいるでしょう。

生活に便利な鉄道ですが、1つ大きな難点があります。それは「騒音」です。

列車が近づくと「ゴォーッ」「ガタンガタン」「キィーッ」…あの音、なぜ出るのでしょう?

それぞれの音には、異なる発生要因があるんです。

車輪とレールの接触、構造物の振動、空気の伝搬、などなど。

それぞれの仕組みを知ると、単なる騒音だと思っていた音の見え方が変わってくるかもしれません。

今回は、鉄道騒音のメカニズムと、騒音に関する法基準騒音対策の工夫を詳しく解説します。

鉄コンくん<br>(筆者)
鉄コンくん
(筆者)

この記事は、鉄道会社の土木部門で構造物の維持管理を専門にしていた経験のある筆者が解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

列車の音にはどんな種類がある?音の種類と原因

鉄道から生じる騒音の種類のアイコン

鉄道の騒音は、一言で「列車の音」とまとめられがちですが、実際にはまったく違う仕組みで生まれた音が重なっています

 普段なんとなく聞いているあの音も、理由を知ると「なるほど、そういうことだったのか」と腑に落ちるはずです。

ここでは、日常でよく耳にする5つの代表的な音を取り上げ、それぞれの“正体”をわかりやすく解説します。

列車が発車するときの「プシュー」

駅で電車が動き出す直前に聞こえる「プシュー」。 騒音というほどではないかもしれませんが、これはブレーキに使っていた空気を抜く音です。

電車のブレーキは、車輪を押さえるために空気の力を使っています

 停車中はその空気がたまった状態になっているため、発車前に余分な空気を逃がす必要があります。

その“空気抜き”が、あの「プシュー」という音。

また、ドアが閉まるときの「プシッ」も同じ仲間で、空気でドアを動かしているために生じる音です。 つまり、発車前に聞こえる「プシュー」は、電車が動くための準備動作の音なんです。

列車が走るときの「ガタンガタン」

レールが伸び縮みする様子の模式図

列車が近づいてくると、遠くから「ガタンガタン」と聞こえてきますよね。 この音の正体は、車輪がレールのわずかな継ぎ目や凹凸を踏むときの衝撃音です。

鉄コちゃん
鉄コちゃん

レールの「継ぎ目」ってなに?

鉄コンくん
鉄コンくん

レールはどこまでもまっすぐつながっているように見えますが、実は一定間隔で隙間があるんです。この隙間を「継ぎ目」と呼びます

そうなんだ。でも、何で隙間があるの?全部繋げれば騒音問題解決じゃん。

そんな簡単にはいかないんです。

レールは金属なので、温度変化で伸び縮みします。夏場は高温で大きくレールが伸びて、レールが曲がってしまう事態も起こるんです。なので、伸びても大丈夫な余裕しろとして、継ぎ目が設けられているんですよ。

わかったような、わからないような・・・

また、レールには表面に微妙な凹凸があります。この凹凸を、車輪が高速で回転しながら踏むたびに振動がすることでも「ガタンガタン」という音が生まれるんです。

速度が上がるほど音が連続し、「ガーッ」という一つの大きな音に聞こえることもあります。

列車が止まるときの「キィー」

駅に近づくと聞こえる「キィー」という高い音。 これは車輪とレールがこすれる摩擦音です。

特に次のような場面で大きくなります。

急ブレーキをかけたとき

雨でレールが濡れているとき

カーブに差し掛かるとき

車輪は金属、レールも金属。 金属同士が強い力でこすれれば、当然大きな音が出ます。

自転車のブレーキが擦れて「キーッ」と鳴るのと同じ原理ですが、電車は重さが桁違いなので、音も大きく響きます

鉄橋を通るときの「ゴトンゴトン」

鉄橋の近くにいると、列車が通るたびに「ゴトンゴトン」と大きな音が響きます。 これは橋そのものが振動して“響いている”音です。

列車が鉄橋に乗ると、 桁が上下・左右にたわむ → その揺れが空気を震わせる → 音になる という流れで音が生まれます。

鉄橋は金属でできていて軽いため、 地面に比べて振動が逃げにくく、音として外に出やすいのが特徴です。

また、鉄橋の下を歩いていると音がとても大きく聞こえるのは、 桁の内部が“反響しやすい空間”になっているためです。

新幹線が通過するときの「ビュンビュンビュン」

新幹線がトンネルから出る際に大きな音が出る様子

新幹線が高速で通過するときの「ビュンビュンビュン」。 これは車体が空気を切り裂く音です。

高速道路で窓を開けると「ゴォーッ」と風の音がしますよね。 あれと同じ現象が、時速約300kmの世界で起きているわけです。

新幹線は速度が速すぎるため、

車体の周りの空気が激しく乱れる

車体の形状が空気を押しのける

といった現象が重なり、独特の「ビュン」という鋭い音になります。

特に通過駅では、列車が作る風の流れが一気に押し寄せるため、音が強く感じられます。

また、新幹線がトンネルを通過するときは、出口付近で「ドーン!」と大砲のような音を出すことがあります。

このメカニズムとしては、

①新幹線がトンネルに入るとき、 車体が巨大なピストンのように空気を前へ押し込む

②トンネルの中は逃げ場が少ないので、押し込まれた空気は前へ前へと圧縮される

③圧縮された空気の波がトンネルの出口へ向かう

出口から外へ“ドンッ”と飛び出す

という流れで、あの「ドーン」という音になります。

どんな時にうるさくなるの?

鉄道の音は、いつも同じ大きさではありません。 同じ列車でも、走る場所・速度・線路の構造によって、驚くほど音の出方が変わります

ここでは、鉄道が「特にうるさくなる条件」を整理します。

 スピードが速いとき(風の音が一気に増える)

速度が上がるほど、車体の周りの空気が激しく乱れます。 そのため、在来線より新幹線の方が「ビュン」という風切り音が圧倒的に大きくなります。

低速:車輪の音が中心

中速:車輪+風の音

高速:ほぼ風の音が主役

特に新幹線の通過駅では、風の塊が一気に押し寄せるため、体感的にも音が強く感じられます。

スラブ軌道(コンクリート軌道)の上を走るとき

線路の下がコンクリートで固められた「スラブ軌道」は、 振動が逃げにくく、音が響きやすい構造です。

そのため、都市部の高架橋でよく聞く「ガーッ」という連続音は、スラブ軌道特有のものです。

一方、砕石(バラスト)が敷かれた軌道は、石が振動を吸収してくれるため、比較的静かです。

 鉄橋を走るとき

鉄橋は金属でできていて軽く、揺れやすい構造です。 そのため、列車が通ると

桁が揺れる→その振動が空気を震わせる→音が大きく広がる

という流れで、地上よりも音が強く聞こえます。

カーブを曲がるとき(車輪がこすれる)

カーブでは、車輪の側面がレールにこすれやすくなります。 その摩擦が「キィー」という高い音の原因です。

急カーブほど、速度が高いほど、音は大きくなります。

うるさくてもいいの?環境基準は

いろいろな原因でうるさくなることはよく分かったよ。

でもさ、こんなにうるさくて大丈夫なの?法律とかに違反しないの?

鋭いですね。実は鉄道の騒音には法で定められた基準値があり、鉄道会社は基準値より小さい騒音で列車を走らせなくてはならないと決まっているんです。

● 新幹線の場合

新幹線には、国(環境省)が定めた明確な環境基準があります。

住宅地: 70dB以下

商業地: 75dB以下

在来線の場合

在来線の列車走行音には環境基準はありません。 

存在するのは、新しく線路を作るときの「指針値」だけです。

昼:60dB以下

夜:55dB以下

これは“新設・大規模改良時の評価用”であり、 既存の線路には「今より悪化させない」「できる範囲で改善する」という努力義務が適用されます。

そうなんだ。ところで、dBってなに?

あ、そこからですか。dBとは音の単位で、「デシベル」と読みます。

東京都環境局が出している目安によると、掃除機の音で約60~76dBと言われています。

また新幹線については、音量だけでなく、夜間の走行時間帯を制限しています。

具体的には、JR各社とも0時~6時までは新幹線を走らせていません。

その証拠に、各社の新幹線の時刻表を見ると、始発はかならず6時以降となっているほか、終電は0時までに終着駅に着くように設定されています。

余談ですが、山形新幹線や秋田新幹線といった「ミニ新幹線」が在来線と同じ区間を走る際には、走行時間帯の基準は適用されません

鉄道会社は騒音対策をしてる?

基準を守っているといっても、うるさいものはうるさいよね。何とかならないの?

もちろん、鉄道会社は多くの騒音対策を実施しています。

代表的なものを紹介しますね。

ロングレール化

レール継ぎ目を極限まで減らすことで、「ガタンガタン」という音を大幅に低減できます。

現在ではほとんどの主要路線で導入されています。

防音壁

高架橋の側面に設置し、音の拡散を抑えます。また防音壁に吸音材を取り付けることもあります。

ただし、壁を高くすると重量が増えるので構造物の補強が必要になる場合があり、対策コストが大きくなります。

また、高い壁があると景観の問題も生じるため、設計には慎重な検討が必要です。

消音バラスト

砕石の粒度を小さくしたり、形状を工夫することで、振動吸収性能を高めたバラストです。

特に都市部の高架橋で使われることが多いです。

コラム:騒音と引き換えに生まれた埼京線

ここで一つ、騒音に関わる鉄道建設の歴史の一幕を紹介します。

埼京線という路線をご存じでしょうか。埼玉県と東京都をつなぐ、首都圏の主要路線の一つです。

この線、実は「新幹線の騒音対策」と深く関係しています。

東北・上越新幹線の建設時、上野〜大宮間のルートを通すにあたり、沿線自治体から「新幹線だけ通すのは納得できない」という声が上がりました。

実は当時、既に開業していた東海道新幹線や山陽新幹線の沿線では、新幹線車両による騒音が社会問題化していたのです。

そこで国鉄は、新幹線の高架橋を共用し、並行して在来線(現在の埼京線)を整備することをはじめとする“交換条件”を提示。 結果として、現在の埼京線が誕生しました。

つまり、埼京線は「新幹線の騒音を受け入れる代わりに、地域の利便性を高める」という政治的・社会的な背景のもとで生まれた路線なのです。

開業してみたら、実は新幹線より埼京線の音のほうがうるさかったなんて話もあるようです。

おわりに

鉄道の騒音は、単なる「うるさい音」ではなく、車両・軌道・構造物が複雑に関わり合って生まれる現象です。

その裏では、鉄道会社が日々、軌道の保守や構造物の補修、設備の改善に取り組んでいます。

仕組みを知ることで、普段聞き流していた音が「なるほど、こういう理由だったのか」と違って聞こえてくるはずです。

鉄道の安全と快適さを支える技術の一端として、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!

当ブログでは、鉄道の身近な「なぜ?」について解説した記事をいくつか投稿しています。

同シリーズの一つ、「鉄道の高架橋の下にあるあのネットの正体」の記事もぜひ合わせてご覧ください

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