【保存版】鉄道コンクリート橋の歴史|最古の無筋橋から最新HPC橋まで

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こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。

突然ですが、ここでクイズです。

日本に鉄道ができたのは何年かご存じですか?

答えは、1872年です。日本の鉄道はなんと150年以上の歴史を持っているんです。

鉄コン君<br>(筆者)
鉄コン君
(筆者)

知っていたらすごいです。

もしかしたら、学校の授業で習ったのを覚えてる人もいるかもしれませんね。

ではもう1問。

日本で1番古い鉄道コンクリート橋は何年にできたでしょう?

そんなの知るわけないよ。50年前くらい?

実はもっともっと古いんです。

こちらの答えは1904年です。鉄道コンクリート橋りょうの歴史も、実は100年以上あるんですね。

さてこの記事では、鉄道橋りょうのコンクリート技術の変遷を、最古の無筋橋から現代の高性能HPC橋まで、わかりやすくまとめてみました。

「最古のコンクリート橋りょうってどんなのだったの?」
「昔のコンクリートって今と何が違うの?」
そんな疑問もこの記事で解消できます。

鉄コン君<br>(筆者)
鉄コン君
(筆者)

この記事は、鉄道会社の土木部門でコンクリート構造物の維持管理を専門にしていた経験のある筆者が解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

鉄道コンクリート橋のはじまり

古い鉄道コンクリート橋りょうのイメージ図

日本にコンクリート技術が伝わったのは、明治初期(1870年代) と言われています。
当初は港湾施設や基礎構造物など、石や煉瓦の代替材料として使われていました。

なぜコンクリートが普及したのか

世の中にコンクリートが急速に広まった背景には、次の理由があります。

・石材の確保が難しくなった

・型枠を使えば大量施工が可能

・耐久性が高く、長期的に経済的

これらの理由に加え、鉄道においては「鋼桁より、列車通過時の騒音の発生が小さい」といったメリットもあります。

そのため、鉄道分野においてもコンクリートは普及していったのです。

鉄道での最初の用途

鉄道分野で最初にコンクリートが使われたのは、1900年代初頭の暗きょ(線路下の小トンネル)でした。

この時代のコンクリートは 無筋
鉄筋を入れず、コンクリートそのものの強度だけで荷重を支えていました。

やがて、1910年代ごろになると鉄筋コンクリート(RC)が導入され、さらに 1950年代以降、プレストレストコンクリート(PC)橋へと発展していきます。

これらの歴史について、次項からもっと詳しく解説していきます。

明治期:最古の鉄道コンクリート橋りょう

日本最古の鉄道コンクリート橋りょうとされているのが、山陰本線・島田川暗きょ(1904年)です。

島田川暗きょの概要

路線:山陰本線

完成年:1904年(明治37年)

用途:線路下の小径間暗きょ

材料:無筋コンクリート

構造:アーチ構造

構造的なポイント

アーチ構造の力の分散を示す模式図

最大の特徴は、鉄筋を一切使っていないことです。
アーチ形状によって生じる圧縮力だけで、列車荷重を支えていました。

当時のコンクリートは、

セメント品質が安定していない

配合設計(水をどれくらい混ぜるかなど)の考え方も未成熟

という状況でしたが、「コンクリートは圧縮に強い」という性質を、アーチという形状の力学的な性質をもって上手く活かしていた点は非常に興味深いところです。

大正~昭和前期:鉄筋コンクリート(RC)橋の普及

RC橋の登場

コンクリートの力学的特性を示すイメージ図

「コンクリートは圧縮に強い」という性質をさきほど示しましたが、実は「引張に弱い」という弱点もあります

1910~1920年代になると、この弱点を補うための構造である、鉄筋コンクリート(RC)橋が本格的に導入されます。

RC橋とは?

RCの力学的特性を示すイメージ図

RC(Reinforced Concrete)橋は、圧縮をコンクリート・引張を鉄筋で分担する構造です。

RC橋のイメージとしては、「上から押された結果、下側が引っ張られる(伸びる)板」を鉄筋が下から支えている状態です。

その結果、

スパンを長く飛ばせる

桁橋や高架橋が造れる

ようになり、鉄道構造物の形は大きく変わっていきました。

当時のRC橋の特徴

鉄筋径:12~16mm程度

配筋:規則的だが現在よりシンプル

施工:現場打ちコンクリート+木製型枠

この時代に造られたRC橋の中には、現在も現役で使われているもの数多く存在します。

昭和後期~平成初期:PC橋の時代

高度経済成長期に入り、列車の高速化・重量増加が進むと、RC橋だけでは要求される性能を満たすことが難しくなってきました。

特に鉄道橋では、わずかな変形(たわみ)が列車の走行安全性や乗り心地に影響するため、より剛性の高い構造が求められました。

そこで登場したのが PC橋 (プレストレストコンクリート橋)です。

PC橋とは?

PCの構造のイメージ図

PC(Prestressed Concrete)橋とは、コンクリート内部に配置される鋼材にあらかじめ強く緊張力(プレストレス)を加えることで、橋全体に圧縮力を与えた構造です。

これにより、RC桁より少ない鋼材量で所要の性能を得られるため、スレンダーな桁にできるほか、列車荷重がかかってもひび割れが生じにくくなるという利点があります。

PC橋の特徴

・高強度コンクリート(f’c =40~50MPa)を使用

・薄型桁・大スパンに対応

・プレストレスによるひび割れ抑制

RC橋と比較すると、PC橋は緊張力の管理等、施工が難しくコストが上がることと、PC鋼材の腐食が桁の安全性低下に直結するため維持管理に気を遣うというデメリットもあります。

そのため、今でも場面に応じてRCとPCは使い分けられています

RCとPCの特性についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。

RC橋・PC橋の維持管理のポイントについては、こちらの記事でまとめていますので、合わせてご覧ください。

平成~令和:高性能コンクリート(HPC)橋

近代的なHPC橋のイメージ図

近年における、

社会インフラの長寿命化が要求されている

維持管理の負担軽減・コストの削減が求められている

といった社会的課題を踏まえ、鉄道橋りょうでは、高性能コンクリート(HPC)が採用される場面が増えてきています。

HPC橋とは?

HPC橋とは、高強度セメントやフライアッシュ、シリカフュームなどの混和剤を用いて、コンクリート自体の性能を飛躍的に高めた橋りょうです。

水や塩分が入りにくく、鉄筋が錆びにくいため、非常に高い耐久性を持ちます。

HPC橋の特徴

・耐久性・耐凍害・耐塩害に優れる

・繰返し荷重・疲労に強い

・維持管理負担が小さい(メンテナンスフリーに近い)

HPC橋は、構造形式の進化というよりも、「コンクリートという材料そのものの進化」によって橋りょうの寿命を大きく延ばそうとする考え方です。

初期のコンクリート橋が「まず造ってみる技術」だったとすれば、HPC橋は「100年使うことを前提に造る技術」と言えるでしょう。


鉄道コンクリート橋の歴史まとめ

ここまでの内容を表で整理すると、以下の通りです。

時代主な技術特徴
明治無筋コンクリート圧縮力のみで成立、小径間
大正~昭和前期RC橋曲げに対応、桁橋・高架橋が普及
昭和後期PC橋大スパン・高剛性、高速化に対応
平成~令和HPC橋超高耐久・長寿命化

おわりに

鉄道コンクリート橋の歴史は、 材料の進化 × 構造形式の進化 × 社会的要請 の三つが絡み合いながら発展してきました。

普段見慣れた橋にも、時代ごとの知恵と工夫が詰まっています。 本記事が、その奥深さを知るきっかけになれば幸いです。

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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