こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。
鉄道は、地面と同じ高さを走るだけでなく、高架橋という地面より高いレベルの橋の上を走ることもあります。
その高架橋の下を歩いているとき、天井の位置にネットのようなものが貼ってあるのを見たことがあるでしょうか。

あー、見たことあるかも。そんなに意識したことないけど。
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(筆者)
これは、鉄道橋の下面に設置される「落下防止ネット」というものなんです。
普段は目立たず意識されませんが、橋の下を通る人たちの安全を守るために、とても重要な役割を果たしているんですよ。
今回は、この落下防止ネットがどのようなものなのか、Q&A方式で鉄コン君が次々と疑問を解決していきます。
本記事では、落下防止ネットの役割だけでなく、 ネットでは防げない落下物の話や、正式な対策である表面被覆工法との違いまで解説します。
この記事を読めば、鉄道の落下防止ネットの役割についてバッチリ理解できますので、ぜひ最後までご覧ください。
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この記事は、鉄道会社の土木部門で、構造物の維持管理を専門に働いた経験のある筆者が解説しています。
Q1. 高架橋の下のネットは何?


さっきも聞いたけど、あのネットって何なの?もう少し詳しく教えて。
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あれは、「落下防止ネット」と言い、橋から物が落ちるのを防ぐための安全設備です。
橋の下面を覆うように設置され、アンカーピンと呼ばれるボルトのようなもので橋に止められています。
「剥落防止ネット」と呼ぶこともあり、ポリエステルやナイロンでできた丈夫な網なんですよ。
Q2. 何のために付いている?


安全設備っていうけど、あのネットがついてたらどう安全なの?つける目的はなに?
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繰り返しになりますが、橋から物が落ちた場合に、下を通る人や車へぶつかってしまう事故を防ぐことが目的です。
鉄道橋は日々の点検や補修で落下物を生じさせないよう管理されていますが、落下の可能性を完全にゼロにはできません。そのため、万が一に備えてネットで安全を確保しているんです。

ふーん。ところで、「落下物」ってなに?落ちてくるものってどんなものがあるの?
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橋から落ちてくる可能性があるものとしては、橋自体が劣化して剥がれた数㎝程度の大きさのコンクリート片などがありますね。
落下物についてもっと詳しく知りたいなら、ぜひこの記事を読んでみるといいですよ。

そんな記事があるなら早く教えてよ。さっそく読んでみよーっと。
Q3. どんな橋に付いている?

ネットって、全部の橋についてるわけじゃないよね。どんな橋に付けるものなの?
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鉄道会社によって設置する基準は違いますが、簡単に言えば人通りの多いところに優先して設置しています。

なんで?全部つけたらいいじゃん。
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本当はすべての箇所につけられたらいいんですが、鉄道会社も民間企業なので、落下物対策に無限にお金をかけられるわけではありません。

そうなんだ。「人通りの多いところ」って、たとえばどんなところ?
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駅構内や駅周辺、あとは大きな国道と交差する部分などを指すことが多いですね。
Q4. 網目からすり抜けて落ちてこないの?

あれってネットだから、小さな破片とかすり抜けて落ちてきそう。
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落下防止ネットは、すべてを止める設備ではありません。
人や車に当たると危険な大きさや交通に影響を与える可能性のあるものだけを確実に受け止めることを目的としているんです。
Q5. ネットがある橋は危ないの?

コンクリート片が落ちてくるほど劣化してるなら、ネットがついているような橋は危ない橋ってこと?
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いいえ、そうではありません。橋は点検・補修で適切に管理されています。
その上で、万が一落下物が生じた場合、橋の下を通る人や車への影響を抑えるためにネットが設置されています。
ネットの存在自体は、危険を示すものではないんですよ。
Q6. ネット以外に落下対策はある?

さっき、ネットはすべてを止めることはできないって言ってたよね。当たってもけがしないとしても、破片が落ちてきたりしたらやだなぁ。ほかにもっといい対策はないの?
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実はあるんです。どんな方法か話す前に、鉄道橋の落下対策についてもう少し詳しく説明しますね。

え、あるの?早く教えてよ。
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落下物対策には、
①落下そのものを防ぐ方法
②落下しても影響を生じない程度に防ぐ方法
の2つがあります。ネットは後者で、落下した場合の被害を抑える対策です。
Q7. 落下そのものを防ぐ対策は何?


「落下そのものを防ぐ方法」ってなんなの?もったいぶらないで早く教えてよ。
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もったいぶってるつもりはないんですけどね・・・。
「落下そのものを防ぐ方法」とは、「表面被覆工法」という方法です。
表面被覆とは、橋のコンクリート表面を被覆材という材料を連続的に塗りつけることで全体を覆い、劣化した部分が外に露出しないようにする方法です。

なんかすごいね。どうやって覆うの?
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プライマーと呼ばれる接着剤のようなものを使って止めます。また、補助的にアンカーピンを打って落下を防いでいます。

全部覆っちゃえば安心だね。
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そうですね。表面被覆によって、
・コンクリート片が剥がれ落ちるのを防ぐ
・コンクリート中に劣化の原因となるもの(塩分や水分)を侵入させないことで、劣化の進行を抑える
という2つの効果があります。鉄道橋の落下物対策では、最も基本的な手法です。
コンクリートに劣化の原因となるものが入るとどうなるのかについては、こちらの記事でまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。
Q8. 被覆があるならネットはいらないの?

ネットは小さいものはすり抜けるけど、表面被覆は橋を覆える。
これなら、表面被覆があればネットはしなくていいってこと?
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技術的にはその通りです。表面被覆工が施工されている場合、落下防止ネットを設置する必要はありません。
鉄道会社としても、ネットはあくまで暫定的な落下物対策であり、表面被覆工が正式な対策という位置づけとしています。
Q9. それでもネットが付いている橋があるのはなぜ?


「暫定的な対策」なんてしなくても、最初から全部正式な対策として表面被覆工をやっちゃえばいいじゃん。
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そうしたいのはやまやまなんですがね・・・。
できない理由は、技術ではなくもっと現実的な制約です。
ネットより表面被覆のほうが、設置にかかるお金が高いんです。

え、そうなの。なんで?表面になんか塗るだけなんでしょ?
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表面被覆は、表面にさっと塗ったらおしまいではないんです。
塗るために橋の表面をきれいにしたり、プライマーと呼ばれる接着剤を塗るほか、何層か塗らなきゃ完成しないんです。だから、時間がかかるし、材料費もかかるので、お金が高くなるんです。
さっきも言いましたが、鉄道会社は民間企業です。なので、予算が無限にあるわけではありません。

お金ないからできません、って言って落下物で事故を起こしちゃまずいでしょ。
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さっきから痛いところを突きますね。本当にその通りです。
公共インフラを管理するものとして、利用者の安全確保は第一です。
そうは言っても、すべての橋を一斉に表面被覆することはできないので、被覆が完了するまでの間、下への影響を防ぐために安く設置できるネットが先行して設置されるという判断がされるのです。
注※
設置方針や優先順位は、構造条件や周辺環境によって個別に判断されます。
鉄コン君が言っているのは、あくまで一般的な判断基準です。
まとめ:2つの落下物対策の特徴を比較
ここまで、ネット工と表面被覆工という2つの落下物対策について説明してきました。
それぞれの特徴をまとめてみると、以下の表のようになります。
| 項目 | 落下防止ネット | 表面被覆 |
| 目的 | 落下した物を受け止め、下への影響を防ぐ | 落下そのものを発生させない |
| 対策の性質 | 暫定的・応急的 | 恒久的・根本対策 |
| 防げるもの | 危険な大きさの落下物のみ | 小片も含め、落下物を原理的に発生させない |
| 材料 | ポリエステル・ナイロン製ネット | 被覆材(樹脂系など)+プライマー+アンカーピン |
| 施工コスト | 低い | 高い |
| 施工期間 | 短い | 長い |
| 鉄道会社での位置づけ | 暫定対策 | 正式・基本的な落下物対策 |
おわりに
高架橋の下に張ってあるネットは、落下物による人や車への被害を防ぐための「落下防止ネット」です。
落下防止ネットは、普段は意識されませんが、街の中で静かに役割を果たしている鉄道設備の一つです。
この記事を通して、落下防止ネットについて理解が深まったでしょうか。明日からは少しだけネットにも注目してみてくださいね。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!
当ブログでは、鉄道の身近な「なぜ?」について解説した記事をいくつか投稿しています。
同シリーズの一つ、「鉄道の騒音の原因」の記事もぜひ合わせてご覧ください。






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