【解説】鉄道コンクリート橋りょうの部材名称(桁橋・ラーメン橋)

鉄道

こんにちは。記事の閲覧ありがとうございます。

この記事では、鉄道コンクリート橋りょうの構造形式と、橋りょうを構成する部材の名称について解説していきます。

鉄道ならではの、軌道(レール)付近の構造についても解説します。

土木を学びはじめて間もない方や、鉄道会社の土木系統で入社して日が浅い方などにも分かりやすい記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!

鉄コンくん(筆者)
鉄コンくん(筆者)

この記事は、鉄道会社の土木部門で働いた経験のある筆者が解説します。

筆者は、コンクリート診断士を保有しており、コンクリート構造物の維持管理が専門分野です。

この記事で取り上げる対象:「桁橋」と「ラーメン橋」

鉄道コンクリート橋りょうの構造形式には、いろいろな種類があります。

代表的なもので、「桁橋」「ラーメン橋」「アーチ橋」「トラス橋」「斜張橋」などがあります。

この記事では、最も一般的であり、街中で見かけることも多い「桁橋」「ラーメン橋」に着目していきたいと思います!

そのほかの形式については、後日別の記事で解説しますね。

桁橋とは?

桁橋とは、橋台や橋脚といった下部工の間に桁を架けて、その上を列車が走行する構造です。

もっともシンプルな構造であり、短いもので1m(※)~数十mまで多種多様なスパンに対応できます。

しかし、長いスパンに対応しようとすると、それだけ大きな断面が必要になるため、経済性を考慮するとあまり長大スパンの場合は採用されません。

※鉄道においては、「橋りょう」とは1m以上の長さのものを指します。

それ未満は、「伏び」「排水路」「下水きょ」などと呼ばれ、「土工」というカテゴリに分類されます。

「単純桁」と呼ばれる、1スパンに1つの桁が架かるものと、「連続桁」と呼ばれる複数スパンにまたがって1つの桁が架かるものがあります。

ラーメン橋とは?

ラーメン橋とは、橋台や橋脚と桁が一体になっている「ラーメン構造」というものを採用した構造です。

桁橋と比して、支承を有していないことからメンテナンス性に優れており、鉄道においては都市部や新幹線の高架橋に多く用いられています。

ラーメン高架橋としては、数m~10m程度の、3~4径間連続構造が採用されることが多いです。

それ以外にも、数mの短いラーメン橋や、山あいの谷地形を超えるために数十mのスパンを有する大径間ラーメン橋も存在しています。

部材名称とは?

部材名称とは、橋の部位の名前です。

橋りょうは、さまざまな部材から成り立っており、それぞれの部材が違った役割を持っています。

ここからは、桁橋・ラーメン橋のそれぞれの部材の名称とその役割について解説していきます。

鉄道ならではの、軌道(レール)の構造についても、少しだけ解説しますね。

桁橋の部材名称

上部工:橋を通る列車等を直接支える部分

部材名称役割
主桁(しゅげた)橋の最も主要な部材で、橋りょうに作用する主な荷重を支持して下部工に伝達する。
主桁の長さのことを桁長(けたちょう)と呼ぶ。
横桁(よこげた)スラブ(床板)を支え、スラブに作用した荷重を主桁に伝達する。
支承(ししょう)主桁と下部工の間に設置され、下部工へ力を伝達する。水平移動や回転の機能を有しており、主桁に作用する温度伸縮や地震力を吸収する。「固定支承」「可動支承」の2種類がある。
中間スラブ(ちゅうかんすらぶ)主桁と主桁の間に設けられる、列車が走行するための床面。
張出スラブ(はりだしすらぶ)主桁外方に設けられる、橋りょうに作用する荷重を受けるための床面

下部工:上部工から支承を介して伝達された荷重を地盤に伝える部分

部材名称役割
橋脚(きょうきゃく)橋りょうの途中を支持する下部工。ピアとも呼ばれる。
橋台(きょうだい)橋りょうの始終端を支持する下部工。アバットとも呼ばれる。
パラペット(ぱらぺっと)橋台の上部に突出した部分で、上部工と前後の構造物(盛土等)との境界部となる。

軌道:レール等、列車が走行する部分

部材名称役割
レール(れーる)列車の車輪が通る2本の鉄の道。
軌道スラブ(きどうすらぶ)レールが直接載る、コンクリート製の敷板。
CAモルタル(しーえーもるたる)アスファルトに近い材料で、列車荷重を路盤に伝えつつ、クッションのような役割を果たす部材
路盤コンクリートレールレベルの調整のために設けられる、軌道スラブ等を支持するコンクリート製の床板。

ラーメン橋の部材名称

部材名称役割
縦梁(たてばり)ラーメン構造の柱と柱をつなぐ水平部材のうち、線路方向に伸びるもの。
横梁(よこばり)ラーメン構造の柱と柱をつなぐ水平部材のうち、線路直角方向に伸びるもの。
中層梁(ちゅうそうばり)背が高い高架橋で、主に地震時の水平変位を抑制するために柱の中間部に設けられる梁のこと。
ハンチ(はんち)梁の端部に設けられる、断面を拡大した部分。せん断力や曲げモーメントが集中する部分を補強する役割を果たしている。
柱(はしら)ラーメン構造のうち鉛直部材のことで、作用した荷重を地盤に伝達する。
中間スラブ(ちゅうかんすらぶ)梁と梁の間に設けられる、列車が走行するための床面
張出スラブ(はりだしすらぶ)縦梁外方に設けられる、上面の荷重を受けるための床面
フーチング基礎(ふーちんぐきそ)基礎の下部で広がっている部分で、荷重を分散して地盤に伝える。
高欄(こうらん)橋の両側に設けられる、転落防止や騒音防止のために設けられる壁。

おわりに

この記事では、鉄道コンクリート橋りょうのうち、「桁橋」「ラーメン橋」の部材名称について詳しく解説しました。

部材の名前と役割を把握することは、橋りょうを極める第一歩になります。

ぜひしっかり覚えましょう!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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